葬儀の受付で失礼にならない「言葉選び」の正解|忌み言葉や返礼品の渡し方のマナー


葬儀の受付を頼まれた際、多くの人が「どのような言葉をかければ遺族の失礼にならないか」「参列者に対して適切な返し方は何か」と悩んでしまいます。葬儀という厳かな場では、普段使い慣れた言葉がマナー違反になることもあるため、事前の準備が欠かせません。

受付は、遺族に代わって弔問客を一番にお迎えする重要なポジションです。あなたの振る舞いや言葉遣い一つで、葬儀全体の印象が決まると言っても過言ではありません。

この記事では、葬儀の受付で求められる「正しい言葉選び」の正解を徹底解説します。忌み言葉の注意点から、お香典の受け取り方、返礼品の渡し方に至るまで、具体的で実用的なマナーを身につけて、自信を持って当日を迎えましょう。


1. 葬儀受付の役割と求められる姿勢

葬儀の受付は、単なる事務的な窓口ではありません。遺族の代理として参列者に感謝を伝え、式を円滑に進めるための「案内役」です。

遺族の代理人としての自覚

受付に立つ人は、親族や親しい友人が務めることが一般的ですが、参列者から見れば「主催者側の一員」です。そのため、個人的な知人に会ったとしても、世間話や大きな声での挨拶は控え、落ち着いた態度を保つ必要があります。

控えめで温かい対応

悲しみの中にいる参列者を迎えるため、明るすぎる声は禁物ですが、暗くなりすぎて声が聞き取れないのも困りものです。語尾を少し下げるような、穏やかで聞き取りやすいトーンを意識しましょう。


2. 参列者をお迎えする際の「基本の挨拶」

参列者が受付に到着した際、最初にかける言葉は「感謝」の意を表すものです。

状況に応じた第一声

参列者から「この度はご愁傷様です」「お悔やみ申し上げます」といった言葉をかけられたら、以下のように返します。

  • 基本の返し: 「本日はお忙しい中、ご参列いただきありがとうございます。」

  • 雨や雪の場合: 「お足元の悪い中、ご丁寧にお越しいただき恐縮でございます。」

  • 遠方からの場合: 「遠方よりお越しいただき、誠に恐れ入ります。」

注意点:

自分自身が遺族でなくても、「ありがとうございます」と答えるのがマナーです。「恐縮でございます」や「痛み入ります」といった言葉を添えると、より丁寧な印象になります。


3. お香典を受け取る際のマナーと言葉添え

お香典のやり取りは、受付業務の中で最も慎重に行うべき場面です。

正しい受け取りの手順

  1. 両手で受ける: 参列者が袱紗(ふくさ)から出したお香典を差し出したら、必ず両手で丁寧に受け取ります。

  2. 挨拶を添える: 「お預かりいたします」と言いながら、静かに一礼します。

  3. 向きに注意: 受け取ったお香典は、そのままの向きで丁寧に扱います。

避けるべき言葉:

「頂戴します」よりも「お預かりいたします」の方が、遺族に代わって一時的に管理するというニュアンスが含まれるため、受付の立場として適切です。


4. 芳名帳(記帳)への誘導と返礼品の渡し方

お香典を預かったら、次は記帳と返礼品の案内へスムーズに誘導します。

記帳をお願いするフレーズ

  • 「恐れ入りますが、こちらにご住所とお名前のご記入をお願いいたします。」

  • 「お手数ですが、こちらのカードにお名前をお書きいただけますでしょうか。」

返礼品(会葬御礼品)を渡すタイミング

記帳が終わったタイミングで、両手で返礼品を差し出します。

  • 「ありがとうございます。こちら、会葬のしるしでございます。お納めください。」

  • 「恐れ入ります、こちらをお受け取りください。」

渡し終えたら、「中へお進みください」と式場の入り口を案内します。


5. 絶対に避けるべき「忌み言葉」の正解

葬儀の場には、使ってはいけない「忌み言葉」が存在します。無意識に使わないよう、代表的なものを確認しておきましょう。

重ね言葉(不幸が重なることを連想させる)

  • 「たびたび」「しばしば」「いよいよ」「重ね重ね」「ますます」

  • 対策:これらは使わず、「お忙しい中」「本日は」といった直接的な言葉に置き換えます。

続き言葉(不幸が続くことを連想させる)

  • 「再び」「次に」「追って」

  • 対策:葬儀が一度きりであることを願い、これらの言葉は避けます。

直接的な表現

  • 「死ぬ」「生きている時」

  • 対策:「ご逝去(せいきょ)」「生前(せいぜん)」と言い換えるのがマナーです。


6. 【ケース別】受付でよくある質問への回答例

受付では参列者から様々なことを尋ねられます。慌てずスマートに答えられるようにしておきましょう。

遺族に直接挨拶したいと言われたら

「申し訳ございません。ただいま遺族は手が離せませんので、私がお預かりして後ほどお伝えいたします。」

受付を空けることは防犯上厳禁ですので、丁寧にお断りし、伝言を預かる形をとります。

トイレやクロークの場所を聞かれたら

「お手洗いはあちらの廊下の突き当たりにございます。」

「お荷物はあちらのクロークでお預かりしております。」

事前に会場内を一周し、設備の位置を把握しておくのがプロの受付の立ち振る舞いです。


7. 受付担当者が準備しておくべき身だしなみ

言葉遣いと同じくらい大切なのが、相手に安心感を与える清潔感のある服装です。

  • 男性: ブラックスーツ(略礼服)に、白無地のワイシャツ、黒無地のネクタイ。靴下や靴も黒で統一し、光沢のあるものは避けます。

  • 女性: ブラックフォーマル(アンサンブルやワンピース)。ストッキングは黒を選び、派手なネイルやアクセサリーは外します。髪はすっきりとまとめ、メイクは控えめな「片化粧」を心がけましょう。


8. まとめ:誠実な対応が故人への供養になる

葬儀の受付を頼まれたとき、完璧にこなそうと緊張しすぎる必要はありません。最も大切なのは、故人を悼み、参列してくださった方々を敬う「心」です。

適切な言葉選びと、落ち着いた動作、そして「お預かりいたします」という一言に心を込めれば、多少の言い間違いがあったとしても失礼にはあたりません。あなたが遺族の代わりに誠実に務めることが、故人への何よりの供養となります。

この記事で紹介したマナーを参考に、落ち着いて当日を迎えてください。