初めての神道葬儀でも焦らない!玉串奉奠(たまぐしほうてん)の作法と忍び手のやり方
日本国内では仏式の葬儀が主流ですが、近年では日本古来の伝統に基づいた「神道(しんとう)」の葬儀、いわゆる「神葬祭(しんそうさい)」を選ばれるご家庭が増えています。しかし、初めて神式の葬儀に参列することになった際、多くの人が不安に感じるのが、仏式の焼香にあたる「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」ではないでしょうか。
「玉串ってどう持つの?」「拍手は打ってもいいの?」と戸惑ってしまうのは、決してあなただけではありません。神道の儀式は独特の所作がありますが、その意味を知れば、故人を敬い、家の守護神として送り出すための温かい儀式であることが分かります。
この記事では、神式葬儀に参列する際に必ず役立つ玉串奉奠の具体的な作法や、神道特有の「忍び手(しのびて)」のやり方、さらに参列者が守るべきマナーについて、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説します。
神式葬儀(神葬祭)の基本と死生観
神道における死は「穢れ(けがれ)」とされますが、これは「不潔」という意味ではなく「気枯れ(生命力が枯渇した状態)」を指します。葬儀を通じてその穢れを清め、故人の御霊(みたま)をその家にとどめ、一族を見守る「守護神」としてお祀りするのが神葬祭の目的です。
仏教のように「極楽浄土へ旅立つ」のではなく、「住み慣れた家で家族と一緒に居続ける」という考え方は、日本人にとって非常に親しみ深く、心の安らぎを感じさせるものです。そのため、葬儀は神社ではなく、斎場や自宅で行われるのが一般的です。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)とは?
「玉串」とは、榊(さかき)の枝に「紙垂(しだい)」と呼ばれる白い紙をつけたものです。神道では、この玉串に自分の心を乗せて神様に捧げることで、故人への哀悼の意や感謝を伝えます。
玉串奉奠の正しい手順
慣れないと難しく感じるかもしれませんが、基本の動きを頭に入れておけばスムーズに行えます。
玉串を受け取る
斎主(神職)や受付から玉串を渡されます。右手で根元を上から、左手で葉先を下から支えるように受け取ります。このとき、胸の高さで保持し、少しだけ左手(葉先)を高くすると美しく見えます。
案(あん)の前へ進む
玉串を捧げる台(案)の前まで進み、軽く一礼します。
玉串を回転させる(1回目)
玉串を時計回りに90度回し、根元が自分の方、葉先が祭壇の方を向くように縦にします。
祈りを込める
目を閉じ、故人の御霊の平安を祈ります。
玉串を回転させる(2回目)
さらに時計回りに回転させ、根元が祭壇の方、葉先が自分の方を向くように持ち替えます。この際、右手を離して葉先の方に持ち替え、左手を根元の方へ移動させるとスムーズです。
捧げる
根元を祭壇側にしたまま、静かに案の上に置きます。
意外と知らない「忍び手(しのびて)」の作法
玉串を捧げた後に行うのが「拝礼」です。神社参拝では「二拝・二拍手・一拝(2回深くお辞儀、2回拍手、1回深くお辞儀)」が基本ですが、葬儀の場では大きな違いがあります。それが**「忍び手」**です。
忍び手のやり方
忍び手とは、拍手をする際に**「手を打ち鳴らさず、音を立てないようにそっと合わせる」**作法のことです。
二拝: 腰を90度に深く2回曲げて礼をします。
二拍手: 手を合わせる際、音を立てないように寸前で止め、そのまま指先を合わせます。これを2回繰り返します。
一拝: 最後にもう一度深く礼をします。
音が鳴らないように配慮するのは、故人を悼む静かな環境を大切にするため、そして「悲しみのあまり音を立てることもできない」という気持ちを表すためだと言われています。
神式葬儀の持ち物とマナー
仏式との違いは、儀式の作法だけではありません。香典や言葉遣いにも神道ならではのルールがあります。
1. 不祝儀袋の表書き
神式では「香典」という言葉は使いません。以下の表書きが一般的です。
御玉串料(おたまぐしりょう)
御榊料(おさかきりょう)
御霊前(ごれいぜん)
袋は、白無地または結び切りの水引がついたものを選びます。蓮の花が描かれた袋は仏式用ですので、避けるようにしましょう。
2. 避けるべき言葉(忌み言葉)
「成仏」「供養」「冥福」「往生」といった言葉はすべて仏教用語です。
お悔やみの挨拶をする際は、「この度はご愁傷様でございます」「御霊(みたま)の安らかならんことをお祈りいたします」といった表現を使いましょう。
葬儀費用と収益性の高い選択
神式葬儀は、仏式に比べて「戒名料(かいみょうりょう)」がかからないという特徴があります。神道では「諡(おくりな)」という名前を授かりますが、これに対する高額な謝礼は基本的に発生しません。
そのため、葬儀費用を合理的に抑えつつ、日本伝統の品格ある儀式を行いたいという層から支持されています。祭壇も白木と榊を中心としたシンプルな構成が多く、華美な装飾を控えることで、質の高い心温まるお別れを演出しやすいのがメリットです。
まとめ
神道の葬儀「神葬祭」は、最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、一つひとつの所作に「故人を大切に想う」という深い意味が込められています。玉串奉奠や忍び手の作法を事前に知っておくことで、当日は落ち着いて故人と向き合うことができるでしょう。
作法を完璧にこなすこと以上に大切なのは、故人を家の守護神として敬う気持ちです。あなたの丁寧な拝礼は、遺族にとっても大きな慰めとなるはずです。
もし、神式葬儀の準備や霊璽(れいじ)の用意など、さらに具体的な段取りについて詳しく知りたい場合は、専門の葬儀社に相談してみることをおすすめします。
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