知っておきたい大人のたしなみ:仏式の葬儀・告別式の流れと参列マナー完全ガイド


「急に訃報を受けたけれど、葬儀や告別式で失礼がないか心配…」

「基本的な流れや焼香の作法を、今一度きちんと確認しておきたい」

人生の締めくくりとなる大切な儀式である葬儀。特に日本で最も多い仏式(仏教)の葬儀に参列する際、故人様やご遺族に心からの弔意を示すためには、基本的な流れとマナーを知っておくことが欠かせません。

作法に自信がないと、緊張してしまい、故人様を悼む気持ちが二の次になってしまうかもしれません。しかし、最低限のルールを把握しておけば、落ち着いて故人様との最期のお別れに臨むことができます。

この記事では、仏式の通夜、葬儀・告別式の流れから、参列時に押さえておきたい服装、持ち物、そして最も重要な「焼香の作法」までを、分かりやすく丁寧に解説します。いざという時に困らないよう、この記事で正しい知識を身につけておきましょう。

1. 仏式葬儀の全体像:通夜から火葬までの流れ

仏式の葬儀は、一般的に故人様がお亡くなりになった翌日に「お通夜」、翌々日に「葬儀・告別式」と「火葬」が行われる、2日間の流れが基本です。

1-1. 【1日目】お通夜(通夜式)

通夜は本来、ご遺族や親族が故人様の傍で一晩を過ごし、別れを惜しむ儀式でした。現在は、一般の参列者も弔問に訪れることが多くなっています。

時間帯主な流れと内容
受付開式の30分~1時間前から始まります。芳名帳に記帳し、お香典を渡します。
開式・読経僧侶が入場し、読経(どきょう)が始まります。故人様を仏の弟子にする儀式などが執り行われます。
焼香読経の間に、喪主・ご遺族・ご親族・一般会葬者の順に焼香を行います。
法話・喪主挨拶読経後、僧侶による法話や、喪主からの挨拶が行われます。
通夜振る舞い閉式後、別室で参列者に食事を振る舞います。故人様の思い出を語り合う場ですが、近年は省略されることもあります。

1-2. 【2日目】葬儀・告別式、出棺、火葬

葬儀・告別式は、故人様をこの世からあの世へと送り出す最も重要な儀式です。

時間帯主な流れと内容
受付通夜に参列し香典を渡している場合は、記帳のみ行います。
開式・読経僧侶が入場し、読経が行われます。弔辞(ちょうじ)・弔電(ちょうでん)の奉読も行われます。
焼香お通夜と同様に、喪主から順に焼香を行います。一般会葬者はこの時間に弔意を示します。
お別れの儀・出棺故人様の周りを花で飾り(花入れ)、棺の蓋を閉じます。喪主の挨拶後、棺を霊柩車へ運び出し、火葬場へ向けて出棺します。
火葬・骨上げ火葬場で「納めの式」として最後の読経と焼香が行われ、火葬。約1~2時間後に「収骨(骨上げ)」で遺骨を骨壷に納めます。

2. 参列者が押さえるべき「服装」と「持ち物」マナー

故人様への敬意を表すため、服装や持ち物には細やかなマナーがあります。

2-1. 服装:控えめな「準喪服」が基本

参列者として最も一般的なのは、準喪服(ブラックスーツ、ブラックフォーマル)です。

項目男性女性
スーツ準喪服(光沢のない黒の無地スーツ)。パンツの裾はシングル。ブラックフォーマル(光沢のない黒のワンピース、アンサンブル、またはスーツ)。スカート丈は膝が隠れる長さ。
シャツ/ブラウス白の無地(レギュラーカラー)。ボタンダウンは避ける。白または黒の無地。胸元の開きすぎに注意。
ネクタイ黒の無地(光沢のないもの)。結び方はプレーンノットで。-
靴・靴下黒の革靴(金具や装飾のないもの)・黒の無地ソックス。黒のパンプス(ヒールが高すぎないもの)・黒のストッキング。
アクセサリー結婚指輪以外は外す。タイピンやカフスは使用しない。真珠(一連)のネックレスとイヤリングのみ可。「不幸が重なる」を連想させる二連・三連は避ける。
バッグ黒でシンプルな布製や光沢のない皮製。荷物は最小限に。

【注意点】

  • 動物の殺生を連想させるもの:毛皮やファー付きのコート、革製のジャケットなどはタブーです。

  • 化粧:薄化粧(ナチュラルメイク)が基本。口紅は控えるか、ごく薄い色にします。

2-2. 持ち物:忘れずに準備したい4つのアイテム

葬儀参列に必要な持ち物は、下記の4点が必須です。

  1. お香典(こうでん):ご遺族へのお悔やみの気持ちを込めた金銭。

    • 表書き:四十九日前は「御霊前」、四十九日後は「御仏前」とすることが多いですが、宗派によって異なるため注意が必要です(浄土真宗は最初から「御仏前」)。

    • お金:新札は「不幸を予期していた」と連想されるため、一度折り目をつけたお札を使用します。

  2. 袱紗(ふくさ):香典袋を包む布。弔事用(寒色系、紫)を使用し、受付で袱紗から取り出して渡します。

  3. 数珠(じゅず):仏式では必須の仏具。自分の宗派のものを持参しますが、宗派が不明な場合は略式のもの(一連)で構いません。貸し借りはマナー違反です。

  4. ハンカチ:白または黒の無地のもの。

3. 葬儀の最重要作法「焼香(しょうこう)」の手順

焼香は故人様への弔いの気持ちを込めて、香を焚く大切な儀式です。基本の作法を押さえておきましょう。

3-1. 焼香の種類と基本的な流れ

焼香には、立って行う**「立礼(りつれい)焼香」、座って行う「座礼(ざれい)焼香」、香炉を回して行う「回し焼香(まわししょうこう)」**の3種類がありますが、作法自体は共通しています。

  1. 席を立ち、焼香台の前へ進む:順番が来たら席を立ち、焼香台の手前で立ち止まり、まずご遺族に一礼します。

  2. 祭壇・故人様に一礼:焼香台に進み、遺影(祭壇)に向かって合掌・一礼します。

  3. 焼香:右手の親指・人差し指・中指の3本で**抹香(まっこう:粉状のお香)**をつまみます。

  4. 押しいただく(宗派による):つまんだ抹香を目の高さまで持ち上げます(これを**「押しいただく」**と言います)。宗派によってはこの動作を行いません(例:浄土真宗)。

  5. 香炉に落とす:抹香を静かに香炉(こうろ)の中へ落とします。

  6. 合掌・一礼:改めて故人様に合掌し、一礼します。

  7. 自席へ戻る:ご遺族に再度一礼してから、静かに自席に戻ります。

3-2. 宗派ごとの焼香の回数

焼香の回数は宗派によって異なりますが、一般参列者が故人様の宗派に合わせる必要はありません。ご自身の宗派の作法で問題ありませんが、迷った場合は**「1回」**にすれば、いずれの宗派でも失礼にはあたりません。

宗派焼香回数押しいただく(額まで持ち上げる)
天台宗1回または3回行う
真言宗3回行う
浄土宗1回または3回(特に定めなし)行う
浄土真宗1回行わない
曹洞宗2回(主香は行う、従香は行わない)1回目(主香)のみ行う

4. 弔意を示すための心構えとタブーな言葉

葬儀は悲しみの場であり、ご遺族への配慮が最も大切です。

4-1. 会場での振る舞い

  • 会場到着時間:開式の10分~20分前には着席できるよう、余裕を持って会場入りしましょう。

  • お悔やみの言葉:ご遺族へ声をかける際は、手短に済ませます。長々と話したり、故人様がお亡くなりになった状況を詮索したりするのは避けましょう。

  • 表情:友人など知人と会っても、にこやかな顔を見せず、場にふさわしい落ち着いた表情を心がけます。

4-2. 忌み言葉(いみことば)

不幸や死を連想させたり、不幸が重なることを想起させたりする言葉は、忌み言葉としてタブーとされています。うっかり使わないように特に注意しましょう。

分類忌み言葉の例代わりに使う言葉
重ね言葉重ね重ね、たびたび、くれぐれも、追って、次々
生死に関する直接的な言葉死ぬ、死亡、急死、生きる、生きていた時ご逝去、ご永眠、享年、ご生前
不吉な言葉浮かばれない、迷う、大変なことに

この記事で仏式葬儀の流れとマナーの基本を理解し、落ち着いて故人様への弔意を表せるよう準備しておきましょう。

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