迷わない!キリスト教式の香典(御花料)の正しい包み方とマナー詳細
「キリスト教の葬儀に参列するけど、香典の包み方は仏式と同じでいいの?」「カトリックとプロテスタントでマナーは違う?」
キリスト教の葬儀に参列する際、香典にあたるお金は「御花料(お花料)」として持参するのが一般的です。しかし、仏式とは不祝儀袋の選び方や表書きの書き方に違いがあるため、「これでいいのかな?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、キリスト教式の御花料を失礼なくお渡しするための正しい包み方、宗派別(カトリック・プロテスタント)の表書き、お札の入れ方まで、詳細なマナーをわかりやすく解説します。
これを読めば、宗教に配慮した正しい作法で弔意を伝えることができますよ。
1. キリスト教式で選ぶべき不祝儀袋(御花料袋)
キリスト教には**「香典」という概念自体がないため、仏式の香典袋は使いません。御花料を包む封筒**の選び方には、明確なルールがあります。
1-1. 水引は「なし」が基本
水引の有無: キリスト教式では、水引(みずひき)は基本的に不要です。水引は仏教や神道の儀式に基づく慣習のため、水引のない白無地の封筒を選ぶのが最も無難で正しい作法とされます。
デザイン: 十字架や百合の花(カトリックでは聖母マリアの象徴)が描かれた、キリスト教専用の不祝儀袋も使用できます。
避けるべきもの: 蓮の花が描かれているものは仏教専用なので絶対に避けましょう。
1-2. 代用するなら「白無地の封筒」
もしキリスト教専用の封筒が見つからない場合は、以下の条件を満たす白無地の封筒(無地のし袋)で代用できます。
郵便番号の枠など、余計な印刷がないもの。
封筒が一重のもの(不幸が重ならないようにという配慮から、二重封筒は避ける)。
2. 【宗派別】御花料の正しい表書きと氏名の書き方
表書きは、故人がカトリックかプロテスタントかによって、使用できる言葉が一部異なります。
2-1. カトリック・プロテスタント共通の表書き
御花料(おはな りょう)
宗派を問わず、キリスト教式で最も一般的に使用される表書きです。宗派が不明な場合は、これを選べば間違いありません。
献花料(けんか りょう)
献花を行うことから、この名称も広く使われます。
2-2. 宗派によって使用できる表書き
宗派 | 使用できる主な表書き | 使用不可の表書き | 備考 |
カトリック | 御花料、御ミサ料(おんみさりょう)、御霊前(みたまえ) | 忌慰料(きいりょう) | 追悼のミサがあるため「御ミサ料」が使えます。「御霊前」も使用可。 |
プロテスタント | 御花料、献花料、忌慰料(きいりょう) | 御霊前、御ミサ料 | 「霊」という概念を認めないため、「御霊前」は絶対NGです。 |
2-3. 氏名・金額の書き方
項目 | 外袋(表) | 中袋(裏) | マナー詳細 |
筆記具 | 薄墨の筆ペン(または通常の筆ペン) | 黒のボールペンまたはサインペン | 表面は弔意を表す薄墨が望ましい。中袋は明確に金額を伝えるため濃い墨で。 |
表書き | 中央上段に「御花料」などと記入。 | – | – |
氏名 | 中央下段にフルネームを記入。 | 裏面の左下に住所と氏名を記入。 | 表裏ともに縦書き。連名の場合は目上の方を一番右に。 |
金額 | – | 表面中央に縦書きで記入。 | 改ざん防止のため、「壱」「弐」「参」などの旧漢字(大字)を使用するのがマナー。 |
3. お札の入れ方と金額に関する重要マナー
仏式と同じく、お札の入れ方にも故人への弔意を示すマナーがあります。
3-1. 新札は避け、お札を裏向きに入れる
お札の状態: 新札(ピン札)は「不幸を予期して事前に準備していた」という印象を与えるため、マナー違反とされます。適度に使い古したお札を用意しましょう。新札しかない場合は、一度軽く折り目をつけてから包みます。
お札の向き: 封筒の表側から見たとき、お札の肖像画(人物の顔)が裏面に来るように入れます(裏向き)。さらに、肖像画が下になるように入れるのが最も丁寧な作法とされています。これは、「悲しみのあまり顔を伏せている」「故人との急な別れで慌てて用意した」という意味合いが込められています。
3-2. 包む金額のルール
奇数で包む: 割り切れない数字である奇数(3万円、5万円など)が基本です。「縁が切れる」ことを連想させる偶数(2万円、4万円など)や、「苦(く)」に通じる9万円は避けるのが一般的です。
4. 御花料を渡す際の袱紗(ふくさ)と渡し方
お金を不祝儀袋に入れたら、そのままカバンに入れず、袱紗(ふくさ)に包んで持参するのが大人のマナーです。
4-1. 袱紗の色と包み方
色: 弔事用の寒色系(紺、緑、グレー、紫など)を選びます。紫は慶弔どちらにも使えるため便利です。
包み方(左開き): 慶事とは逆の**「左開き」にするのが弔事**の作法です。
袱紗をひし形に広げる。
中央よりやや右に御花料袋を表向きに置く。
右側を折り畳む。
下側、上側を折り畳む。
最後に左側を畳んで包み、左開きになるようにする。
4-2. 受付での渡し方
キリスト教式でも、受付がある場合はそこで渡します。
渡し方: 袱紗から御花料袋を取り出し、相手から見て表書きが正面になるように両手で差し出します。
お悔やみの言葉: 仏式のような「この度はご愁傷様でございます」という言葉は使わず、「この度は心よりお悔やみ申し上げます」といった言葉や、「お花料をお供えいたします」とだけ伝えるのが一般的です。
まとめ:キリスト教式の御花料マナーチェックリスト
項目 | カトリック | プロテスタント | 宗派不明 |
封筒 | 水引なしの白無地、または十字架・百合のデザイン | 水引なしの白無地、または十字架のデザイン | 水引なしの白無地が最も安全 |
表書き | 御花料、御ミサ料、御霊前 | 御花料、献花料、忌慰料 | 御花料 |
お札 | 裏向き(肖像画が裏)、新札を避ける | 裏向き(肖像画が裏)、新札を避ける | 共通のマナー |
金額 | 奇数(3万・5万など)が基本 | 奇数(3万・5万など)が基本 | 共通のマナー |
キリスト教式の御花料は、故人の霊ではなく神に感謝を捧げるという考えに基づいています。これらのマナーを意識することで、遺族への深い配慮を示すことができます。