葬儀後の連絡はいつ?電話・メールで失礼のないマナーと例文集
葬儀(告別式)を終えると、ご遺族は心身ともに疲れがピークに達していることでしょう。しかし、葬儀に参列してくださった方々や、お世話になった方々への報告と御礼は欠かせません。
特に最近では、家族葬を選ぶご家庭が増え、葬儀への参列を控えていただいた方への事後報告の重要性が高まっています。
ここでは、葬儀後の連絡(電話・メール)を行う上での適切なタイミング、マナー、そして例文を詳しく解説します。
1. 葬儀後の連絡のタイミングと手段
葬儀後の連絡は、相手との関係性や連絡の内容によって、最適なタイミングや手段が異なります。
連絡相手 | 目的 | 適切なタイミング | 連絡手段の基本 |
会社・職場 | 忌引き休暇の御礼と業務報告 | 出社直後または葬儀翌日 | 電話(上司や担当者に) |
参列者 | 参列・弔電・供花への御礼 | 葬儀翌日〜2〜3日以内 | 電話(親しい人のみ)、メール(親しい人のみ) |
参列しなかった方 | 訃報の事後報告 | 葬儀後1週間以内〜四十九日法要まで | ハガキ(文書が正式)、メール(親しい人のみ) |
1-1. 【電話】は簡潔に、早めの連絡を
最も丁寧な手段は電話です。特に直属の上司や、親族への御礼や報告は電話が基本です。
かける時間帯に配慮: 早朝や深夜は避け、相手の迷惑にならない時間帯を選びましょう。
要点を簡潔に: 「葬儀が終わったこと」「無事に送り出せたことへの御礼」を簡潔に伝えます。長話は避けましょう。
1-2. 【メール】は相手への配慮を忘れずに
親しい友人・知人や同僚であれば、メールでの報告や御礼も許容されることが多くなりました。ただし、以下の点に注意が必要です。
件名で内容を明記: 「【葬儀完了の報告】〇〇(喪主名)」のように、一目でわかる件名にします。
句読点(、。)は使わない:弔事の文書では、「滞りなく行われるように」という意味合いから、句読点を使わないのがマナーとされています。
「返信不要」を添える: 遺族の負担を増やさないよう、「ご多忙中かと存じますので、ご返信には及びません」といった一文を添えましょう。
2. 相手別:葬儀後の電話・メール例文
2-1. 会社の上司・取引先への報告(電話/メール)
まずは、忌引き休暇の御礼と、葬儀が無事に済んだこと、業務に戻る旨を簡潔に伝えます。
【上司への電話例文】
「お忙しいところ恐れ入ります。〇〇(自分の名前)です。
おかげさまで、昨日、母の葬儀を滞りなく終えることができました。
業務が多忙な折に、忌引き休暇をいただき、またご配慮いただきまして、誠にありがとうございました。
〇日に出社しましたら、改めて御礼申し上げます。取り急ぎご報告とお礼まで。」
【会社・取引先へのメール例文(親しい間柄でない場合)】
件名 | 【葬儀完了の御礼とご報告】〇〇(自分の名前) |
本文 | 〇〇部長(様) 私事にて大変恐縮ですが この度は亡父 〇〇の葬儀に際し ご弔意を賜り心より御礼申し上げます おかげさまで昨日 滞りなく葬儀を執り行うことができました ご迷惑をおかけし大変申し訳ございません 〇日より通常通り出社いたしますので どうぞよろしくお願い申し上げます 略儀ながらメールにてご挨拶申し上げます ご返信には及びませんのでご多忙中どうぞご自愛ください |
2-2. 友人・知人・親族への御礼(メール)
参列してくれた友人や親族に対しては、感謝の気持ちを込めて連絡します。
件名 | 〇〇(故人の名前)の葬儀の御礼とご報告 |
本文 | 〇〇様 先日は父 〇〇の葬儀にご参列いただき 誠にありがとうございました 遠方からお越しいただき 感謝の気持ちでいっぱいです 無事に送り出すことができ 家族一同ほっとしております 故人もきっと喜んでいることと思います 取り急ぎお礼を申し上げたくご連絡いたしました どうぞご自愛くださいね 〇〇(自分の名前) |
2-3. 家族葬後の事後報告(メールまたはハガキ)
家族葬で参列をご遠慮いただいた方への事後報告は、故人の意向を尊重した旨を丁寧に伝えます。
件名 | 【ご報告】〇〇(故人の名前)が永眠いたしました |
本文 | 〇〇様 突然のご連絡で大変恐縮ですが かねてより病気療養中だった母 〇〇が 去る〇月〇日に永眠いたしました 生前のご厚情に深く感謝申し上げます 故人の生前の遺志を尊重し 葬儀は近親者のみにて滞りなく執り行いました 本来であれば直ちにご報告すべきところ 事後のご連絡となりましたことを心よりお詫び申し上げます 誠に勝手ながら ご香典 ご供花 弔問などのお心遣いは 固くご辞退申し上げます 何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます 今後とも変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます ご返信はご無用です |
3. 【重要】弔問や厚志を辞退する場合のマナー
家族葬や密葬の場合、「弔問や香典を辞退したい」という意向を伝えることが、かえって相手への配慮となります。
3-1. 「ご厚志は固くご辞退申し上げます」
香典(御香典)、供花、供物、弔電など、弔意を示す金品や品物すべてを辞退したい場合は、「ご厚志(ごこうし)」という言葉を使います。
伝え方:
「誠に勝手ながら、ご厚志は固くご辞退申し上げます」
「故人の遺志により、御香典、ご供花、ご弔電などのお心遣いは辞退させていただきます」
3-2. 弔問を辞退する場合
「落ち着いたら弔問に伺いたい」と言ってくださる方に対しては、遺族の意向を丁寧に伝えます。
伝え方:
「大変恐縮ですが、故人の遺志により、ご弔問も謹んでご辞退申し上げます。お気持ちだけありがたく頂戴いたします」
故人を無事に送った後も、ご遺族にはやるべきことがたくさんあります。丁寧なマナーを守りつつも、無理のない範囲で、感謝の気持ちを伝えていきましょう。