遺体安置場所の選択|自宅か専用施設か?後悔しないための判断基準と費用
大切な方が亡くなった直後、ご遺族には「どこに安置するか」という極めて重要な決断が求められます。病院で亡くなった場合、長居をすることは難しく、速やかに移動先を決めなければなりません。
かつての日本では「自宅安置」が一般的でしたが、近年の住宅事情や家族構成の変化により、葬儀社の「専用安置施設(霊安室)」を利用するケースが急増しています。
「最期まで住み慣れた家で過ごさせてあげたい」という願いと、「近所に知られたくない」「準備が大変そう」という現実的な悩み。どちらを選べば、故人様もご家族も納得のいくお別れができるのでしょうか。
この記事では、自宅安置と専用施設のメリット・デメリット、それぞれの費用相場、そして選択時に必ずチェックすべき注意点を詳しく解説します。
1. 自宅安置:住み慣れた場所で家族水入らずの時間を
故人様を自宅に連れて帰る「自宅安置」は、形式にとらわれず、家族だけでゆっくりと過ごせるのが最大の魅力です。
メリット
最期の時間を自由に過ごせる: 面会時間の制限がなく、夜通し付き添うことができます。
故人の願いを叶えられる: 「家へ帰りたい」と願っていた故人様の想いを尊重できます。
安置料を抑えられる: 施設利用料がかからないため、葬儀費用を節約できる場合があります。
お別れが日常の延長になる: 好きな音楽を流したり、好物をお供えしたりと、アットホームな環境で見送れます。
デメリットと注意点
スペースの確保: 搬入の動線(玄関や階段の幅)や、布団を敷くスペース(約2〜3畳)が必要です。
温度管理の負担: ご遺体の状態を保つため、夏場はエアコンをフル稼働させ、ドライアイスの補充を適切に行う必要があります。
来客対応: 近所の方や親戚が弔問に来る際、お茶出しや掃除などの負担が生じます。
マンションの規約: エレベーターのサイズや管理規約により、ご遺体の搬入が禁止されている場合があります。
2. 専用安置施設(霊安室):プロに任せる安心感と利便性
葬儀社が運営する専用施設や民間の霊安室を利用する方法です。現代の葬儀スタイルにおいて、最も選ばれている選択肢です。
メリット
適切な環境管理: 保冷設備や空調が完備されており、ご遺体の状態悪化を防ぐことができます。
家族の負担軽減: 部屋の片付けや弔問客への対応が不要になり、葬儀の準備に集中できます。
近隣への配慮: 葬儀のことを知られたくない場合や、集合住宅で搬入が難しい場合に適しています。
そのまま式場へ移動可能: 葬儀式場が併設されている施設が多く、移動の負担が最小限で済みます。
デメリットと注意点
面会制限: 施設によっては「面会時間が10時〜17時まで」「夜間の付き添い不可」といった制限があります。
利用料金の発生: 1日単位で利用料が発生します。
予約が必要: 混雑している時期は、希望する施設が空いていないこともあります。
3. 安置場所別・費用の目安と内訳
安置場所によって発生する費用は異なります。葬儀の見積書を確認する際の参考にしてください。
| 安置場所 | 費用項目 | 1日あたりの相場 | 備考 |
| 自宅 | ドライアイス代 | 10,000円 〜 20,000円 | 季節や日数により変動 |
| 枕飾り一式 | 15,000円 〜 30,000円 | 祭壇の設置費用(初回のみ) | |
| 専用施設 | 施設利用料 | 10,000円 〜 30,000円 | 付き添い不可の簡易タイプ |
| 付き添い安置料 | 30,000円 〜 50,000円 | 家族が宿泊可能な個室タイプ | |
| ドライアイス代 | 10,000円 〜 20,000円 | 別途加算される場合が多い |
※この他に、病院からの「搬送代」が別途必要となります。
4. どちらを選ぶべき?判断するための5つのチェックリスト
迷ったときは、以下の項目を家族で確認してみましょう。
搬入経路はあるか: 玄関、廊下、エレベーターにご遺体を乗せたストレッチャーが通る幅があるか。
夏場・冬場の空調: 部屋を18度以下に保てるエアコン設備があるか。
付き添いの希望: 最期の夜を一緒に過ごしたいか、それとも体力を温存したいか。
近隣への周知: 葬儀を行うことを近所に知られても問題ないか。
葬儀までの日数: 火葬場の空き状況により安置が長引く(4日以上)場合は、施設の方が衛生的です。
5. マンションやアパートで自宅安置をする際のコツ
集合住宅だからといって、自宅安置を諦める必要はありません。
管理事務所への確認: 「ご遺体の搬入」が可能か、事前に規約を確認します。難しい場合は「寝台車」ではなく「普通車に見える車両」で搬送してくれる葬儀社もあります。
エレベーターの「トランク」: 多くのエレベーターには、ストレッチャーを入れるための隠し扉(トランク)があります。管理人がいれば鍵を開けてもらうことができます。
ドライアイスの重要性: 気密性の高いマンションは熱がこもりやすいため、ドライアイスの交換頻度を葬儀社と密に相談しましょう。
6. まとめ:納得のいく安置場所選びが「良いお別れ」の第一歩
遺体安置場所の選択は、単なる「場所の確保」ではありません。故人様と過ごす最後の静かな時間を、どのように作りたいかを決める大切なプロセスです。
「住み慣れた我が家へ帰してあげたい」という感情と、「家族が無理なく見送れる環境」という現実。どちらが正解ということはありません。もし自宅安置が難しくても、最近では「ホテルのような付き添い可能な安置施設」も増えています。
どちらのケースでも、最も重要なのは**「信頼できる葬儀社に早めに相談すること」**です。状況に合わせた最適なプランを提案してもらうことで、悲しみの中でも落ち着いてお見送りをする準備が整います。
大切な方との最後のひとときが、穏やかで後悔のないものになるよう、本記事が判断の助けになれば幸いです。
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