「菩提寺がない」時の葬儀はどうする?お寺との付き合い方と僧侶派遣サービス利用の注意点
「実家はお寺と付き合いがあるけれど、自分は東京に出てきてからどこのお寺とも縁がない」「親の葬儀をしたいけれど、どこのお寺に連絡すればいいのか分からない」といった悩みを持つ方が増えています。
核家族化が進み、先祖代々のお墓があるお寺(菩提寺)との関係が希薄になった現代では、いざという時に「誰に読経をお願いすればいいのか」という問題に直面します。
この記事では、菩提寺がない場合の葬儀の進め方や、最近主流になりつつある「僧侶派遣サービス」を利用する際のメリット・注意点を詳しく解説します。
そもそも「菩提寺(ぼだいじ)」とは?
菩提寺とは、先祖代々のお墓があり、葬儀や法要を執り行ってくれる特定のお寺のことです。
日本には古くから「檀家(だんか)制度」があり、お寺を経済的に支える代わりに、供養をすべてお任せするという相互扶助の関係がありました。
しかし、現在は以下のような理由で「菩提寺がない」状態の方も多いのが実情です。
分家して新しく世帯を持った
先祖のお墓をすでに「墓じまい」した
特定の宗教・宗派にこだわらずに生活してきた
菩提寺がない場合の葬儀の選択肢
もしもの時に菩提寺がない場合、主に3つの方法で僧侶を手配することになります。
1. 葬儀社に紹介してもらう
最も一般的な方法です。提携している地域の寺院を紹介してくれます。
メリット: 葬儀の流れに合わせてスムーズに手配してくれる。
デメリット: お布施の金額が葬儀社によって基準が異なり、比較しにくい場合がある。
2. 僧侶派遣(寺院手配)サービスを利用する
インターネットなどを通じて、定額でお坊さんを手配するサービスです。
メリット: お布施の額が明示されており、定額で安心。一度きりのお付き合いでもOK。
デメリット: どんな方が来るか当日まで分からない場合がある。
3. 寺院へ直接相談する
近隣のお寺や、自分の宗派のお寺に直接電話などで依頼する方法です。
メリット: 地域の寺院との新しい縁ができる可能性がある。
デメリット: 自分で一から交渉や確認を行う必要がある。
僧侶派遣サービスを利用する際の5つの注意点
近年、手軽さから利用者が急増している僧侶派遣サービスですが、利用前には必ず確認しておくべきポイントがあります。
① 先祖のお墓の「宗派」を確認する
「自分は無宗教だから何でもいい」と思っていても、地方にある先祖代々のお墓(納骨先)がある場合は注意が必要です。
納骨先のお寺の宗派と異なる宗派で葬儀を行うと、**「納骨を拒否される」**といったトラブルに発展することがあります。必ず事前にお墓の管理者に宗派を確認しましょう。
② 「定額」に含まれる範囲を確認する
多くのサービスは「お布施・車代・膳料」がセットになったパッケージ料金ですが、以下の点を確認してください。
戒名のランク(信士・信女以外を希望する場合の追加料金)
初七日法要を同日に行う場合の追加料金
③ 葬儀社との連携
葬儀社によっては、自社紹介以外の僧侶の出入りを制限している場合があります。派遣サービスを利用したい旨は、早めに葬儀担当者に伝えておくのがマナーです。
④ 戒名の授与について
派遣サービスでも戒名(法名)を授けてもらえます。ただし、その後の法要(四十九日や一周忌)も同じ僧侶にお願いしたいのか、今回限りで良いのかを明確にしておきましょう。
⑤ 信頼できるサービスか見極める
運営母体がしっかりしているか、口コミやサポート体制が充実しているかをチェックしましょう。不透明な追加料金が発生しない「総額表示」のサイトを選ぶのが安心です。
お寺との付き合いがない場合の「戒名」はどうなる?
葬儀を機に「戒名(かいみょう)」をつけるべきか迷う方も多いでしょう。
仏教式の葬儀を行う以上、本来は仏弟子としての名前である戒名が必要です。菩提寺がない場合でも、派遣された僧侶や紹介されたお寺から授かることができます。
もし「戒名は不要」「名前だけで送りたい」という場合は、宗教儀礼を行わない「無宗教葬(自由葬)」という選択肢もあります。ただし、後でお墓に入れる際に寺院墓地を利用する場合は戒名が必須になることが多いため、慎重な判断が必要です。
まとめ:自分たちに合った「供養の形」を見つける
菩提寺がないことは、決して悪いことではありません。現代のライフスタイルに合わせて、柔軟に供養の形を選べる時代になったとも言えます。
大切なのは、「どのような形で故人を送りたいか」という家族の意思です。
僧侶派遣サービスを賢く利用することで、費用面での不安を解消しつつ、真心を込めた葬儀を行うことが可能です。
まずは、親族間で「宗派」や「今後のお墓の管理」について話し合っておくことから始めてみてはいかがでしょうか。
菩提寺がない方のためのよくある質問
Q. 僧侶派遣で葬儀をした後、そのお寺の檀家にならなければいけませんか?
A. ほとんどの派遣サービスでは、檀家になる必要はありません。その場限りのお付き合い(一回忌などの都度の依頼)が可能なのが特徴です。
Q. 菩提寺があるのに、隠して派遣サービスを使っても大丈夫?
A. おすすめしません。後でお墓に入れる際に菩提寺とトラブルになり、最悪の場合、納骨のために再度読経料を支払うなど二度手間になる恐れがあります。菩提寺がある場合は、遠方であってもまずはそちらに相談しましょう。
Q. お布施以外に当日に現金を用意する必要はありますか?
A. 派遣サービスで「総額定額」となっている場合は、基本的に追加の御車代や御膳料を当日手渡す必要はありません。すべて込みの価格設定になっていることが多いです。
お布施の相場に正解はある?葬儀で迷わないためのマナーと渡し方の全知識