愛犬が亡くなったらすぐすること。安置のやり方と火葬までのタイムリミット


愛犬が息を引き取った瞬間、深い悲しみと喪失感で頭が真っ白になってしまうのは当然のことです。「もっと何かできたのでは」「信じたくない」という思いが溢れる中で、飼い主様が最後にしてあげられる最も大切な仕事。それが**「正しい安置(あんち)」**です。

愛犬の遺体をきれいに保ち、穏やかな姿で送り出すためには、亡くなってから数時間以内の処置が鍵を握ります。この記事では、自宅ですぐに実践できる安置のやり方と、火葬までに残されたタイムリミットについて、専門的な視点から分かりやすく解説します。


1. 亡くなった直後にすべき「3つの初期対応」

愛犬の反応がなくなったと感じたら、まずは落ち着いて以下の確認と処置を行ってください。

死亡の確認

呼吸が止まっているか、心臓の鼓動がないかを確認します。光を当てても瞳孔が収縮しない(開いたまま)状態であれば、旅立ったサインです。もし、かかりつけの動物病院が開いている時間であれば、死亡診断を受けても良いでしょう。

姿勢を整える(死後硬直への対応)

動物の体は、亡くなってから30分〜2時間程度で「死後硬直」が始まります。

  • 手足を折りたたむ: 四肢が伸びきった状態で固まると、棺(ひつぎ)に入らなくなることがあります。優しく胸の方へ折り曲げ、眠っているような丸い姿勢にしてあげてください。

  • まぶたを閉じる: 目が開いている場合は、優しく撫でて閉じてあげます。

体を清める(エンゼルケア)

口や肛門から体液が漏れ出すことがありますが、これは自然な現象です。

  • ぬるま湯で湿らせたガーゼやタオルで全身を拭き、毛並みをブラッシングして整えます。

  • 体液が出る場合は、脱脂綿を詰めたり、お尻の下にペットシーツを厚めに敷いたりして対応します。


2. 【図解】遺体を傷ませないための正しい安置方法

遺体の状態を保つためには、「冷やすこと」が何よりも重要です。

準備するもの

  • 箱(段ボールやバスケット): 愛犬がゆったり入るサイズ。

  • バスタオル・毛布: 箱の底に敷くもの。

  • 保冷剤・ドライアイス: 遺体を冷やすためのメインアイテム。

  • ペットシーツ: 汚れを防ぐために敷きます。

安置の手順と冷やす場所

  1. 箱の底を整える: 箱の底にビニールを敷き、その上にペットシーツ、バスタオルを重ねます。

  2. 愛犬を寝かせる: 準備した箱の中に、愛犬を優しく寝かせます。

  3. 重点的に冷やす場所: 腐敗は内臓から始まります。以下の3箇所を保冷剤でしっかりと挟むように冷やしてください。

    • お腹(腹部)

    • 腰まわり

    • 頭部(脳)

  4. 外気を遮断する: 上からバスタオルをかけ、保冷効果を高めます。

ポイント: 保冷剤は直接肌に触れさせず、薄いタオルで巻いてください。結露による湿気を防ぐためです。


3. 火葬までのタイムリミット|夏場と冬場の違い

「いつまでに火葬を行えばいいのか」というタイムリミットは、季節や安置環境によって大きく異なります。

夏場(6月〜9月)の目安:1日〜2日

室温が高い夏場は、腐敗の進行が非常に早いです。エアコンを20度以下に設定し、保冷剤を頻繁に交換したとしても、翌日か翌々日には火葬を行うのが理想的です。

冬場(12月〜2月)の目安:3日〜4日

気温が低い時期であれば、暖房のない涼しい部屋に安置することで、数日間は状態を保つことができます。それでも、保冷処置は欠かさないようにしてください。

ドライアイスを使用する場合

葬儀社からドライアイスを購入して適切に使用すれば、1週間程度安置できる場合もあります。しかし、家庭での管理は難しいため、早めに葬儀日程を決めることをおすすめします。


4. 葬儀・火葬の手配を進める

安置が完了し、少しだけ気持ちが落ち着いたら、具体的な見送りの準備に入ります。

  • 火葬プランの決定: 家族で立ち会う「立会火葬」か、スタッフに任せる「一任火葬」かを選びます。

  • 葬儀社の予約: 多くの葬儀社は24時間365日電話相談を受け付けています。希望の日時を伝え、空き状況を確認しましょう。

  • 遺品整理: 一緒に火葬してあげたい「お花」「おやつ」「お手紙」などを準備します。

    • ※プラスチック製のおもちゃや厚手の毛布などは、お骨を汚す原因になるため火葬できない場合があります。


5. 行政への届け出(犬の場合のみ必須)

愛犬が亡くなった際、法的に必要な手続きがあります。

  • 狂犬病予防法に基づく届け出: 犬の飼い主様は、亡くなってから30日以内に、お住まいの市区町村役場へ「死亡届」を提出する義務があります。

  • 提出方法: 役所の窓口、または自治体によってはオンラインでの申請も可能です。

  • 鑑札の返納: 犬鑑札と狂犬病予防注射済票を返納します。


まとめ|最後の大切な時間を穏やかに過ごすために

愛犬が亡くなってすぐの安置は、飼い主様にとって非常に辛い作業かもしれません。しかし、保冷処置をしっかり行うことは、愛犬の尊厳を守り、きれいな姿で天国へ送り出すための「最後の贈り物」でもあります。

まずは優しく声をかけながら、体を清めてあげてください。そして、火葬までの限られた時間を、感謝の気持ちを伝える大切なひとときとして過ごしましょう。

もし、安置の方法に不安があったり、保冷剤の準備が間に合わなかったりする場合は、遠慮なくペット葬儀社に相談してください。多くの葬儀社が、安置のアドバイスや保冷用品の提供を通じて、飼い主様の心に寄り添ってくれます。

「あの子のために、今できること」を一つずつ丁寧に行うことが、ペットロスの悲しみを癒やす第一歩にも繋がります。

次に行うべきこととして、まずは信頼できるペット葬儀社をいくつか探し、電話で安置のアドバイスを受けてみるのはいかがでしょうか。


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