ご祝儀袋の書き方:毛筆・万年筆どちらでも失敗しない正しいマナーとコツ
結婚式や出産祝い、入学祝いなどで欠かせない「ご祝儀袋」。
いざ書こうとしたときに――
「毛筆で書くのが正式?」「万年筆でもいいの?」と迷う人は多いですよね。
実は、ご祝儀袋の文字は毛筆・万年筆どちらでもマナー上OKですが、
使い方や書き方のコツを知らないと「失礼」に見えてしまうこともあります。
この記事では、毛筆・万年筆の両方に対応したご祝儀袋の正しい書き方と注意点を、初心者にもわかりやすく解説します。
1. ご祝儀袋の基本構造と書く場所
まずは、ご祝儀袋のどこに何を書くのかを確認しましょう。
| 書く場所 | 内容 | 説明 |
|---|---|---|
| 表書き上段 | 「御結婚御祝」「御出産御祝」などの表書き文字 | 贈る目的を明確に書く |
| 表書き下段 | 贈り主の名前(個人・連名) | 自分の氏名や会社名を書く |
| 中袋 | 金額・住所・氏名 | 金額は漢数字で書くのが基本 |
💡 ポイント:表書きは中央を意識して、左右対称・バランス良く書くことが大切。
2. 毛筆・筆ペンで書く場合のマナーとコツ
▸ 毛筆が「最も正式」とされる理由
毛筆や筆ペンは、古くから慶弔事の正式な筆記具として使われています。
特に結婚祝いなど改まった場では、毛筆または筆ペンで書くのが理想です。
▸ 使用するインクの色
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慶事(結婚・出産・新築など):濃い黒インク(墨の濃淡が深い「濃墨」)
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弔事(葬儀・法要など):淡い黒(薄墨)
💡 ご祝儀袋では必ず「濃い黒」を使用しましょう。
▸ 毛筆・筆ペンで美しく書くコツ
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縦書きの中心線を意識する(少し上から始めるとバランスが良い)
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表書きの文字を大きく、名前を少し小さく書く
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力強く、止め・はね・払いを丁寧に
例:
御結婚御祝
山田太郎
▸ 筆ペンの選び方
最近では「慶事用・弔事用」でインクの濃淡が異なる筆ペンもあります。
迷ったときは「濃墨タイプ・中字」を選べば安心です。
3. 万年筆で書く場合のポイントと注意点
「字に自信がない」「筆ペンが苦手」という方には、万年筆も十分マナー的にOKです。
ただし、インクや書き方には注意が必要です。
▸ 万年筆で書くときの基本ルール
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黒インク(染料系 or 顔料系)を使用
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青・ブルーブラックは避ける(ビジネス文書向けであり、慶事では不向き)
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金属ペン先の硬さよりも、インクのにじみにくさを重視
💡 おすすめは「顔料インク入りの万年筆」または「ゲルインクペン風の万年筆タイプ」。
▸ 万年筆で美しく書くコツ
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ご祝儀袋の表面(和紙)はインクがにじみやすい → 下書きを別紙で練習
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文字は楷書体で丁寧に書く(筆文字風の崩しは避ける)
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力を抜いて、縦線をまっすぐ下ろすイメージで
▸ 万年筆が使える場面
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カジュアルな結婚祝い(親しい友人・同僚)
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ビジネス関係の贈り物(上品さを重視)
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ご祝儀袋にプリント文字があるタイプ
4. 名前・金額の正しい書き方(中袋)
▸ 中袋の金額の書き方
金額は「壱」「弐」「参」などの旧字体の漢数字で記入します。
これは、改ざん防止と格式を重んじる意味があります。
| 金額 | 書き方(漢数字) |
|---|---|
| 10,000円 | 金壱萬円 |
| 30,000円 | 金参萬円 |
| 50,000円 | 金伍萬円 |
💡 「円」の後には句点「.」をつけないのが正式です。
▸ 名前・住所の書き方
中袋の左下にフルネームと住所を記載。
特に結婚式などで複数のご祝儀が集まる場では、誰からのものか明確にするために住所は必須です。
5. 連名で書くときのマナー
▸ 夫婦で贈る場合
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中央に夫の氏名、左側に妻の名前だけ(姓は省略)
御結婚御祝
山田太郎
花子
▸ 友人同士・同僚連名の場合
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3名までなら連名可。上から順に右側が目上の人になるように配置。
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4名以上の場合は代表者名の下に「外一同」と書き、中袋に全員の名前を別紙で添付。
6. よくあるNG例とその理由
| NG例 | 理由 |
|---|---|
| ボールペン・シャープペンで書く | カジュアルすぎて不祝儀の印象になる |
| 修正ペンで直す | 「書き直し=失礼」にあたるためNG |
| 水性インクでにじむ | 文字が滲んで読みにくく、印象が悪い |
| 名前より「御祝」を大きく書きすぎる | バランスが崩れやすく、正式な見た目にならない |
7. ご祝儀袋を書く前に準備しておきたいもの
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練習用の半紙またはコピー用紙
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定規(中心線の確認用)
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新品の毛筆または濃墨筆ペン
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乾きやすい黒インクの万年筆
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書き損じたときの予備袋
💡 書く前に必ず「手を清める」ことも日本の伝統的マナーの一つです。
まとめ|毛筆・万年筆どちらでも「心を込めて」書くことが一番大切
ご祝儀袋の書き方は、形式よりも「相手を思う気持ち」が最も大切です。
毛筆であれ万年筆であれ、丁寧に書かれた文字こそ最大の礼儀。
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公式な場では毛筆・筆ペンが最適
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カジュアルな場では上品な万年筆も可
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金額は旧字体、黒インクは濃墨で統一
この3つを守れば、どんなシーンでも失礼のない美しいご祝儀袋になります。