会社関係者へ送る「香典の添え状」完璧マナーと文例集:心のこもった弔意の伝え方
予期せぬ訃報に際し、会社の上司、同僚、あるいは取引先の関係者へ香典をお渡しする機会は少なくありません。
特に、葬儀・告別式に参列できない場合や、代理で香典を持参する場合、**「香典袋だけを渡すのは失礼にあたるのでは?」**と不安に感じる方も多いでしょう。
ビジネスシーンにおける弔意の示し方は、個人のマナーだけでなく、会社の信用にも関わる重要な要素です。この記事では、会社関係者へ香典を渡す際に添える**「添え状(送り状)」の基本的なマナーと、状況別のそのまま使える文例**を詳しく解説します。
心のこもった弔意を伝えることで、故人への敬意とご遺族への配慮を示し、信頼性の高いビジネスコミュニケーションを実践しましょう。
会社向けの香典添え状:作成前に知るべき基本マナー
会社関係者への添え状は、個人の親族へ送るものとは異なり、簡潔さ、正確さ、そして丁寧さが求められます。
1. 添え状は「便箋」または「一筆箋」で
香典に添えるメッセージは、正式な弔意を示すために、白い便箋(横書きは避けるのが無難です)やシンプルな一筆箋を使用します。
重要ポイント:
句読点(「、」や「。」)は使用しません。これは、「滞りなく弔事を終えられるように」という願いを込めた日本特有の慣習です。
**重ね言葉(「たびたび」「ますます」)や忌み言葉(「死ぬ」「四」「九」)**は避けます。
縦書きで書くのが正式なマナーです。
2. 差出人と状況を明確にする
会社関係の場合、誰から、どのような事情で香典を届けているのかを明確にすることが非常に重要です。
状況 | 差出人の書き方 |
社員一同から送る場合 | 部署名や「社員一同」を記し、代表者の氏名(○○部長など)を添えることが多い。 |
上司の代理で渡す場合 | 添え状に「本来ならば○○部長が参列すべきところですが」と理由を明記し、ご自身の氏名を添えます。 |
郵送で送る場合 | 現金書留を利用します。添え状には、現金を同封している旨を記載します。 |
【状況別】香典に添える言葉の文例集(会社向け)
ここからは、そのままコピー&ペーストで使用できる、状況別の具体的な文例をご紹介します。ご自身の状況に合わせて、言葉を調整してください。
文例1:葬儀に参列できず、代理人に託す場合(役員・上司の方へ)
本来、参列すべきだった方がいることを明記し、丁重にお詫びと弔意を伝えます。
謹啓
この度の〇〇様のご逝去に際し 謹んでお悔やみ申し上げます
本来であれば 弊社代表(または 私 〇〇)が直接お伺いし
お別れの挨拶を申し上げるべきところ 誠に恐縮ながら
やむを得ぬ事情により 叶いませんでした
つきましては 心ばかりのお見舞いを
〇〇(代理人名)に託しお届けさせていただきます
ご生前のご厚情に深く感謝申し上げますとともに
ご遺族の皆様の悲しみを拝察し 心よりお悔やみ申し上げます
安らかにご永眠されますようお祈り申し上げます
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇 〇〇(差出人名)
御遺族様
文例2:社員一同(有志)として弔意を表す場合
会社全体や部署としての連帯を示し、故人の功績を讃えつつ弔意を伝えます。
謹啓
この度の〇〇(故人名)様のご訃報に接し 〇〇部署一同 心よりお悔やみ申し上げます
ご生前は私どもに温かいご指導を賜り 感謝に堪えません
その優しく熱心なお姿を偲び 心から哀悼の意を表します
遠方につき 誠に勝手ながら弔問が叶いませんので
皆の弔意を託し 香典を同封させていただきます
ご遺族の皆様におかれましては どうぞご無理なさらず
くれぐれもご自愛くださいませ
故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
〇〇部署 社員一同
(代表:〇〇 〇〇)
御遺族様
文例3:現金書留で郵送する場合(遠方の取引先など)
郵送の場合、「香典」を同封している旨を明確に記載します。
拝啓
この度の〇〇様のご逝去を悼み 心よりお悔やみ申し上げます
突然の訃報に接し 驚きとともに深く哀悼の意を表しております
ご生前は格別のご高配を賜り 誠にありがとうございました
本来であれば 直接お伺いし お線香をあげさせていただくべきところ
遠方のためそれも叶わず 誠に申し訳ございません
つきましては 心ばかりの御香料を
現金書留にて同封させていただきました
ご霊前にお供えいただければ幸いです
ご遺族の皆様の悲しみが少しでも癒えますようお祈り申し上げます
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇 〇〇(差出人名)
御遺族様
弔意をより深く伝えるための「心遣いのポイント」
添え状は、単なる事務連絡ではなく、心のこもったメッセージとして機能します。
1. 故人との具体的なエピソードを添える
もし故人との個人的な交流や感謝の念があれば、一行程度で構いませんので、添え状の文章に盛り込むことで、弔意がよりパーソナルで温かいものになります。
例:「○○様には、私ども〇〇事業立ち上げの際に多大なるご支援をいただき、感謝しております」
2. 遺族への配慮を最優先する
葬儀前後のご遺族は、心身ともに疲弊されています。添え状には、**「ご無理なさらず」「くれぐれもご自愛ください」**といった、体調を気遣う言葉を必ず添えましょう。
プロフェッショナルな配慮:****返信は不要であることを明記しておくと、ご遺族の精神的な負担を軽減できます。例:「ご多用中につき、ご返信には及びません」
まとめ:会社向けの添え状は「マナー」と「心」が鍵
会社関係者へ送る香典の添え状は、日本のビジネスマナーにおいて、高い品格と信頼性を示す重要な機会です。
**マナー遵守:**句読点や忌み言葉を避け、正式な形式で書く。
**明確性:**誰から、どのような意図で送ったのかを明記する。
利他の精神:ご遺族の悲しみとご苦労に配慮した心温まる一言を添える。
この記事でご紹介した文例とマナーを参考に、故人への最大限の敬意と、ご遺族への深い思いやりを込めたメッセージを作成してください。