香典マナー|葬儀後の返礼品の受け取り方と知っておきたい礼儀
葬儀や法要に参列したあと、「香典返し」を受け取る場面は多くあります。
しかし、意外と多くの方が「いつ受け取るのが正しいの?」「お礼の言葉は必要?」と迷ってしまうものです。
この記事では、香典返し(返礼品)の正しい受け取り方・マナー・注意点をやさしく解説します。
失礼のないふるまいを身につけ、社会人として恥ずかしくない対応を心がけましょう。
■ 香典返しとは?その意味と目的
「香典返し」とは、葬儀でいただいた香典に対して、
感謝の気持ちを込めて贈るお礼の品のことを指します。
本来は、葬儀後に「無事に忌明けを迎えました」という報告とともに贈るもので、
「おかげさまで落ち着きました」という感謝と区切りの意味があります。
香典返しの一般的な相場
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香典額の 1/3〜1/2程度 が目安
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3,000円〜5,000円前後が最も多い価格帯
※地域や宗派によって異なりますが、全国的にはこの範囲が一般的です。
■ 香典返しの渡し方と受け取り方の基本マナー
1. 葬儀当日に渡される場合(即日返し)
最近では、葬儀や通夜の受付で「即日返し」として返礼品を渡すケースが増えています。
【受け取り方のポイント】
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受付で手渡された場合は、深くお辞儀して静かに受け取る
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その場で袋の中身を確認するのは避ける
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「このたびはご愁傷様です」「お心遣いありがとうございます」と丁寧な言葉を添えると印象が良い
【注意点】
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会場内で荷物が多い場合も、香典返しは大切に持ち帰る
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名入りの品や熨斗(のし)があるため、雑に扱うのはマナー違反です。
2. 後日郵送で届く場合(忌明け返し)
四十九日法要後などに、郵送で香典返しが届くこともあります。
これは「忌明けを迎えました」という正式なお礼の意味が強い返礼です。
【受け取り方のマナー】
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受け取ったら すぐに開封し、内容を確認
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熨斗や挨拶状が入っていれば、差出人を確認して保管する
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品物に問題がなければ、お礼の電話や手紙で感謝を伝えるとより丁寧です
例:「ご丁寧なお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。ご家族の皆様が少しでもお元気を取り戻されますようお祈り申し上げます。」
■ 香典返しを受け取ったあとに「お礼」は必要?
基本的に香典返しに対してのお礼は不要とされています。
なぜなら、香典そのものが「お悔やみの気持ち」であり、返礼品はそのお礼だからです。
ただし、親しい関係・会社関係・ご近所づきあいなどの場合は、
一言お礼を伝えることで好印象を残すことができます。
【お礼を伝えるタイミング】
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香典返しを受け取ってから 1週間以内 に
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電話、はがき、またはメールでもOK
例文:「このたびはご丁寧なご挨拶を頂戴し、ありがとうございます。どうぞお身体にお気をつけてお過ごしください。」
■ 香典返しを辞退された場合の対応
中には、「お気遣いなく」「お返しは不要です」と辞退される方もいます。
その場合は、無理に送らず、感謝の気持ちを手紙で伝えるのが望ましい対応です。
「ご厚意を賜り、誠にありがとうございました。お気遣いのお言葉に心より感謝申し上げます。」
■ 返礼品でよく選ばれる人気アイテム
香典返しの品は、宗教・地域を問わず「消えもの(使ってなくなるもの)」が好まれます。
代表的な例は以下の通りです。
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お茶・コーヒー・紅茶セット
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海苔・乾物・調味料ギフト
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洗剤やタオルセット
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カタログギフト(最近の主流)
特にカタログギフトは、「好きなものを選べる」「相手の負担にならない」として人気上昇中です。
■ 熨斗(のし)と表書きの正しい書き方
香典返しの熨斗には、宗派や地域による違いがありますが、一般的には以下のようにします。
| 宗派 | 水引の種類 | 表書き |
|---|---|---|
| 仏式 | 黒白または双銀結び切り | 志・満中陰志 |
| 神式 | 双銀結び切り | 志・偲び草 |
| キリスト教 | 水引なし | 志・感謝 |
※地域の慣習に合わせることが最も大切です。
■ 香典返しに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 香典返しの到着が遅い場合、催促してもいい?
→ 基本的には待つのがマナーです。四十九日法要後1〜2週間以内に届くのが目安ですが、遅れても故人や遺族の事情を考慮しましょう。
Q2. 香典返しを紛失してしまった場合は?
→ 直接連絡せず、可能であれば共通の知人を通じて確認を。再送依頼は失礼に当たる場合もあります。
Q3. 返礼品が高額だった場合、お返しが必要?
→ 不要です。感謝の言葉を添えるだけで十分です。
■ まとめ|香典返しは「感謝の心」を受け取る大切な行為
香典返しの受け取り方には、「相手への思いやり」と「静かな礼節」が求められます。
葬儀後はご遺族が心身ともに疲れている時期。
お礼の言葉ひとつでも、優しい心配りとして伝わります。
形式ばかりを気にするのではなく、
「悲しみに寄り添う気持ち」「感謝を受け取る丁寧さ」を意識して対応しましょう。