【完全版】香典袋の「裏書き」マナー徹底解説!ご遺族の負担を減らす正しい住所・氏名・金額の書き方
香典袋の「裏側」こそ、ご遺族への配慮が試される場所です
ご不幸があった際に、お悔やみの気持ちを込めて用意する香典(こうでん)。表書きの「御霊前」「御仏前」や氏名にばかり意識が向きがちですが、実は香典袋の「裏側」の書き方こそ、ご遺族への心遣いが試される、非常に重要なマナーのポイントとなります。
なぜなら、ご遺族は葬儀後、**香典をくださった方へのお礼(香典返し)**や、会計記録の作成をしなければなりません。裏書きの情報が不正確だったり、抜けていたりすると、ご遺族の負担が大幅に増えてしまうからです。
「どこに、何を書くのが正しいのか?」
「金額は漢数字で書くべきか?」
「住所は郵便番号から書くべきか?」
この記事では、あなたがご遺族に手間をかけさせないよう、香典袋の裏面(または中袋)の正しい書き方について、細部にわたるマナーとルールを完全解説します。このガイドを読んで、心遣いのこもった、完璧な香典を準備しましょう。
なぜ裏書きが重要なのか?ご遺族側の「3つの必要性」
香典袋の裏側に正確な情報を記載することは、単なる形式ではありません。ご遺族が葬儀後に必要な作業を円滑に進めるための、実用的な意味合いがあります。
1. 香典返しの発送先情報
後日、ご遺族は香典をくださった方に対して、お礼の品(香典返し)を送ります。香典袋の裏側に正確な住所が書かれていないと、送り先がわからず、ご遺族は大変な手間をかけて連絡先を確認しなければならなくなります。
2. 会計記録の正確な作成
葬儀の費用や香典のやり取りは、後日、税務上の記録としても必要になる場合があります。誰から、いくらいただいたかという記録が正確である必要があります。
3. ご挨拶状作成時の情報確認
ご遺族が**お礼状(挨拶状)**を作成する際、お名前を間違えないよう、香典袋の記載を確認します。氏名の正確なフルネームの記載は必須です。
香典袋の基本構造:「中袋」がある場合とない場合
裏書きのマナーは、香典袋に「中袋(中包み)」があるかないかで、記載する場所が変わります。
1. 中袋がある場合(主流)
現在販売されている香典袋の多くには、お札を包むための白い中袋が入っています。この場合、すべての情報を「中袋」に集中して記載するのが正しいマナーです。
外袋の裏:何も書かなくてもマナー違反にはなりませんが、金額のみを記載する方もいます。
中袋の表:金額を旧字体で記載します。
中袋の裏:住所、氏名を記載します。
2. 中袋がない場合(少ない)
中袋がない場合は、外袋の裏側にすべての情報を記載します。
【中袋の裏面】正しい住所・氏名・金額の書き方
すべての情報を**「中袋」**に記載する前提で、具体的な書き方を見ていきましょう。
1. 金額の書き方(中袋の表面)
中袋の表面中央に、包んだ金額を記載します。ご遺族が読みやすく、改ざんを防ぐため、必ず旧字体(大字)の漢数字を使用するのが正式なマナーです。
金額 | 旧字体(大字)での書き方 |
3,000円 | 金参仟圓 |
5,000円 | 金伍仟圓 |
10,000円 | 金壱萬圓 |
30,000円 | 金参萬圓 |
50,000円 | 金伍萬圓 |
2. 住所の書き方(中袋の裏面・左下)
中袋の裏面、**袋の左側(左下)**に、ご自身の住所を記載します。
ポイント:必ず郵便番号から正確に記載しましょう。住所が長い場合は、二行にわたっても構いません。番地やアパート・マンション名も省略せずに正確に書くことで、香典返しがスムーズに届きます。
3. 氏名の書き方(中袋の裏面・住所の右)
住所の隣(右側)に、**氏名(フルネーム)**を記載します。
ポイント:楷書で丁寧に、読みやすい字で書きましょう。連名の場合は、全員の氏名とそれぞれの包んだ金額を詳細に記載します。(連名のマナーは「香典の連名書き方」を参照ください)
<中袋の裏書きのレイアウトイメージ>
郵便番号 | 住所(番地、建物名まで) | 氏名(フルネーム) |
〒123-4567 | 東京都〇〇区△△1-2-3 | 田中 太郎 |
〇〇マンション 505号室 |
【外袋の裏面】のり付けと閉じ方マナー
外袋の裏側には、基本的には氏名や住所を記載しませんが、**「のり付け」と「折りのマナー」**があります。
1. 外袋の閉じ方(のり付け)
のり付けはするべき?:のり付けをしても、しなくても、どちらでもマナー違反ではありません。しかし、葬儀会場の受付で確認のため開けることが多いので、**完全に封をしない(のり付けをしない)**方が、ご遺族側の手間を省くという心遣いになります。
心配な場合:不安であれば、軽く留める程度ののり付けや、シールで留める程度に留めておくと良いでしょう。
2. 裏面の折り重ね方
香典袋の裏面は、「上側の折り」が「下側の折り」にかぶさるように重ねて閉じます。
理由:「上にかぶせる」のは、「悲しみが重ならないように」、そして**「涙が流れ落ちる」**ようにとの意味合いが込められた、お悔やみごとの作法です。
注意:慶事(結婚式など)の祝儀袋は「下側の折りが上側にかぶさる」ように折りますので、間違えないよう注意が必要です。
まとめ:裏書きを正確に、ご遺族への配慮を完璧に
香典袋の裏書きは、ご遺族の負担を軽減するという、弔事における**「最も大切な心遣い」**を形にする行為です。
情報集中:住所、氏名、金額は、**すべて「中袋」**に正確に記載する。
金額:必ず**旧字体(大字)**で、中袋の表面に書く。
住所・氏名:裏面の左下側に、郵便番号、番地、氏名フルネームを省略せずに丁寧に書く。
このマナーを守ることで、あなたは故人への哀悼の意とともに、ご遺族への配慮を完璧に伝えることができるでしょう。