迷わない！無宗教葬での香典（弔慰金）正しいマナーと包み方【表書き・封筒の選び方】
近年、故人やご遺族の意向で宗教儀式にとらわれない無宗教葬（お別れ会、偲ぶ会など）を選ぶ方が増えています。
しかし、無宗教葬だからこそ、「香典は必要なの？」「もし必要なら、どの不祝儀袋で、表書きは何と書けば失礼にならないのだろう？」と不安になる方は多いでしょう。
無宗教葬でも、弔意を表すために香典（弔慰金）を持参するのが一般的なマナーです。この記事では、無宗教という形式に最適な香典の正しい包み方と渡し方を詳細に解説します。
1. 無宗教葬で使うべき香典袋の選び方
無宗教葬では特定の宗教の教えがないため、弔事に共通して使えるデザインと作法を意識することが大切です。
1-1. 水引は「結び切り」の黒白または双銀
水引の有無: 水引は必要です。無宗教の場合でも、弔事のマナーとして水引のある不祝儀袋を選びます。
色: 黒白（くろしろ）または双銀（そうぎん/銀一色）の水引を選びましょう。地域によっては黄白を用いることもありますが、黒白または双銀を選べば全国的に失礼にあたりません。
結び方: 「二度と繰り返さない」という意味を込めた結び切り（またはあわじ結び）のものを選びます。
袋のデザイン: 蓮の花が描かれたものは仏教専用なので必ず避け、白無地の不祝儀袋を選びましょう。
ワンポイント: 1万円以下の香典であれば、水引が印刷された簡易な香典袋でも問題ありません。高額になる場合は、本物の水引が使われた袋を選ぶのが丁寧です。
1-2. 香典を辞退された場合は持参しない
無宗教葬では、ご遺族が「香典・供花を辞退します」と案内に明記しているケースも多くあります。この場合は、遺族の意向を尊重し、持参しないのが正しいマナーです。
2. 無宗教葬に最適な表書きと氏名の書き方
特定の宗教に縛られないからこそ、どの表書きを選ぶかが重要になります。
2-1. 最も適切な表書きは「御霊前」または「御香典」
無宗教葬で表書きに迷った場合は、以下のいずれかを選びましょう。
| 表書き | 読み方 | 備考 |
| 御霊前 | ごれいぜん | 宗派を問わず広く使える表書き。無宗教葬でも一般的に使用されます。 |
| 御香典 | ごこうでん | 「香」を供えるという意味で、宗教色を抑えた表現として使えます。 |
| 御供料 | おそなえりょう | 「お供えする金品」という意味で、弔慰を丁寧に伝えることができます。 |
注意点: 御仏前（ごぶつぜん）は「仏の前に供える」という意味で、故人が仏様になった四十九日後や浄土真宗で使う仏式の表書きです。無宗教葬では避けるのが無難です。
2-2. 薄墨の使用と氏名の記入方法
| 項目 | 外袋（表） | 中袋（裏） | マナー詳細 |
| 筆記具 | 薄墨の筆ペン | 黒のボールペンまたはサインペン | 弔意を表すために、外袋は「涙で墨が薄くなった」という意味合いの薄墨を使用します。 |
| 表書き | 中央上段に「御霊前」などと記入。 | – | – |
| 氏名 | 中央下段にフルネームを記入。 | 裏面の左下に住所と氏名を記入。 | 連名の場合は目上の方を一番右に。夫婦の場合は夫のフルネームの左に妻の名前のみを記入。 |
| 金額 | – | 表面中央に縦書きで記入。 | 改ざん防止のため、「壱」「弐」「参」などの旧漢字（大字）を使用するのが丁寧です。 |
3. お札の包み方と金額のマナー詳細
香典に包むお札にも、無宗教葬であっても共通のマナーがあります。
3-1. 新札は避け、お札を裏向きに入れる
お札の状態: 「不幸を予期して準備していた」印象を与える新札は避けます。適度に使用感のあるお札を用意しましょう。新札しかない場合は、一度軽く折り目をつけてから包みます。
お札の向き: 中袋の裏面（住所・氏名を書く側）を開けたとき、お札の肖像画が下になるように入れます（裏向き・下向き）。これは「悲しみで顔を伏せる」弔意の意味が込められています。複数枚ある場合は、すべて向きを揃えて入れましょう。
3-2. 包む金額の注意点
奇数で包む: 「縁が切れる」ことを連想させる偶数（2万円、4万円など）や、「苦」に通じる9万円は避けて、奇数（1万円、3万円、5万円など）で包むのがマナーです。
相場: 故人との関係性によって異なりますが、友人・知人・同僚であれば5,000円〜1万円が相場です。
4. 香典の渡し方（袱紗の作法）
無宗教葬であっても、香典は袱紗（ふくさ）に包んで持参するのが社会人としての常識です。
4-1. 弔事用の袱紗と包み方
袱紗の色: 黒、グレー、紺、紫など、寒色系の弔事用を選びます。
包み方: 弔事では「左開き」になるように包みます。慶事と逆なので注意しましょう。
袱紗をひし形に広げる。
中央よりやや右に香典袋を表向きに置く。
右側、下側、上側の順に折り、最後に左側を折り、左開きになるように整えます。
4-2. 受付での渡し方
無宗教葬では宗教的なお悔やみの言葉は避けるのが配慮です。
お悔やみの言葉:
「この度はご愁傷様でございます」（ごしゅうしょうさまでございます）
「心よりお悔やみ申し上げます」
「（御香典を）お供えさせていただきます」
などの汎用性の高い言葉を添えて、袱紗から香典袋を取り出し、表書きが相手の正面になるように両手で差し出しましょう。
無宗教葬では、遺族が形式にとらわれず故人を見送りたいという想いがあります。弔意を丁寧に伝えるためにも、これらの基本的なマナーを意識して参列しましょう。