慌てない！キリスト教式（カトリック・プロテスタント）葬儀の流れと参列マナー完全ガイド

はじめに：日本の葬儀の約1%、「キリスト教式」で戸惑わないために

日本の葬儀の主流は仏式ですが、近年、キリスト教式の葬儀に参列する機会が増えています。しかし、その儀式やマナーは仏式と大きく異なるため、「どう振る舞えばいいかわからない」「失礼のない服装や作法を知りたい」と戸惑う方は少なくありません。

キリスト教において、「死」は終わりではなく、「永遠の命への入り口」、または**「神のもとへの帰還」**と捉えられます。そのため、仏式のような供養や冥福を祈る儀式ではなく、故人の信仰に感謝し、安らかな旅立ちを祈るのが基本です。

この記事では、カトリックとプロテスタントという二大宗派の違いも踏まえながら、キリスト教式葬儀の基本的な流れと、参列者が絶対に知っておくべきマナーを徹底解説します。大切な故人を見送る場で、心穏やかに祈りを捧げるための知識を身につけましょう。

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1. キリスト教式葬儀の基本的な流れ（仏式との大きな違い）

キリスト教式の葬儀は、主に教会や葬儀場のチャペルで行われます。仏式のような「お焼香」や「香典」の習慣がないのが大きな特徴です。

宗派による違い（カトリック vs. プロテスタント）

項目	カトリック（Catholic）	プロテスタント（Protestant）
儀式の名称	「葬儀ミサ」または「葬送式」	「葬送式」または「告別式」
呼び名	故人は**「神の御許に召される」**	故人は**「天に召される」**
司式者	神父	牧師
儀式の内容	聖歌の斉唱、聖書の朗読、ミサ（献体）、献花	賛美歌の斉唱、聖書の朗読、牧師によるお祈り、献花
納棺	**「納棺の儀」**が設けられることが多い	儀式自体は簡素、または省略されることが多い

一般的な葬儀・告別式の流れ

1. 開式・入場： 参列者着席後、オルガンの演奏と共に**牧師（または神父）**が入場。

2. 讃美歌（聖歌）斉唱： 参列者全員で讃美歌（または聖歌）を歌います。歌詞は渡されます。

3. 聖書朗読・説教： 牧師（神父）が聖書の一節を読み上げ、故人との思い出や教えに基づいた**説教（またはミサ）**を行います。

4. お祈り（奏楽）： 故人の安息を祈る祈祷が行われます。

5. 弔辞・弔電（弔辞は省略されることも多い）

6. 献花： 仏式のお焼香にあたる儀式です。後述の手順で花を捧げます。

7. 弔いの言葉・告別： 牧師（神父）が弔いの言葉を述べ、遺族へのお見舞いの言葉を伝えます。

8. 出棺： 遺族・親族が棺を運び出し、火葬場へ向かいます。

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2. 参列者が知っておくべき「マナーと作法」

キリスト教式の葬儀で戸惑いがちな、お金、服装、お焼香に関するマナーです。

マナー１：香典は「御花料」として

キリスト教の教えに**「香典」という概念はありません。持参する場合は、「御花料（おはなりょう）」または「御弥撒料（おみさしりょう）」（カトリックの場合）**として渡します。

• 表書き：

  • キリスト教徒以外： 「御花料」（宗派を問わず使用できます）

  • プロテスタント： 「献花料」「弔慰料」

  • カトリック： 「御ミサ料」

• 水引： 不要です。白黒または双銀の結び切りの水引がついた封筒を選ぶか、十字架や百合の花がデザインされたキリスト教専用の封筒を使用します。

マナー２：献花（けんか）の作法

献花は、仏式のお焼香にあたる、故人に花を捧げる儀式です。

1. 受け取り： 係員から花（カーネーションや百合が多い）を受け取ります。このとき、花が右側、茎が左側になるように持ちます。

2. 祭壇へ： 祭壇の前へ進み、遺族と牧師（神父）に一礼します。

3. 回転： 花を捧げる直前で、花の根元が祭壇側、花が手前になるように時計回りに持ち替えます。

4. 献花： 献花台の上に静かに捧げます。

5. 黙祷： 合掌はせず、胸の前で手を組み、黙祷（一礼または会釈のみ）を捧げて、自席に戻ります。

マナー３：服装とアクセサリー

基本的に、仏式と同様の喪服（ブラックフォーマル）で問題ありません。

• 服装： 男女ともに黒の喪服を着用します。

• 数珠： 数珠は仏具のため、キリスト教式の葬儀には持参しません。

• アクセサリー： 結婚指輪以外のアクセサリーは、真珠または**黒曜石（オニキス）**などのシンプルなものに限定します。

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3. 仏式の習慣でやってしまいがちなNG行動

知らずに仏式と同じ行動をしてしまうと、遺族に配慮を欠くことになるため注意しましょう。

• NG行動１：合掌する

  • 理由： 合掌は仏教の習慣です。キリスト教では、**胸の前で手を組む（または組まずに）**黙祷を捧げるのが一般的です。

• NG行動２：「ご冥福をお祈りします」と言う

  • 理由： 「冥福」は仏教における概念です。「安らかな眠りをお祈りします」「心よりお悔やみ申し上げます」といった表現に留めましょう。

• NG行動３：弔いの言葉で「迷う」という表現を使う

  • 理由： キリスト教では故人は**「神のもとへ帰る」**ため、「迷い」という概念はありません。「天国での安息をお祈りします」など、信仰を尊重する言葉を選びましょう。

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おわりに：信仰を尊重する心構えを大切に

キリスト教式の葬儀では、故人の死を悼むとともに、永遠の命と再会への希望が祈られます。参列者は、故人の信仰を尊重し、静粛な態度で祈りに加わることが最も重要です。

作法に完璧でなくても、故人への敬意と遺族への思いやりを持って臨むことが、一番のマナーとなります。この記事の知識を参考に、心穏やかに故人を見送ってください。